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企業名 | 株式会社 タオ |
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設立 | 1992年 4月 |
資本金 | 10,000 千円 |
代表者 | 代表取締役社長 井内良三 |
従業員数 | 38名 |
所在地 | 525-0032 草津市大路2-9-1 陽だまりビル 5F |
事業内容 | 学習教材ソフト『天神』の企画開発と販売を行っており、専業で培ったノウハウと信頼でお客様の御要望にお応えしております。 |
連絡先 | TEL:077-566-5044 FAX:077-566-5047 |
何のために勉強するか、即ちそのゴールが『点数を上げる』とか『合格する』だけでは楽しみが伴わず持続しない。人生は学校を卒業してからの方が長く、むしろそちらこそが本番であり、だからこそ人生に活用出来得る勉強が必要である。また人間は意識せずとも学ぶことを考えている。例えば、大きな天災で甚大な被害を被った後には無意識に次の被害を防ぐことを考え対策を講じようとする。これは前回の経験を踏まえた実効ある学びである。学ぶということについて、喜びや達成感を感じる学習システムの開発を手掛ける株式会社タオの代表取締役社長 井内良三氏にお話を伺った。
現在の競争社会では順番を付けることが当たり前で勝者以外は敗者扱いとなってしまう。しかし、 本来は勝者・敗者の線引きの基準は存在せず、人生は各個人の価値観によって異なるものである。『各々が自分の持ち味を活かせる人生を創る。』それを支援する学習システムを開発することが株式会社タオの存在意義であり、また自己実現することを支援することが、株式会社タオの基本理念である。 社長にスタートから現在までの御苦労を伺ったところ、「今までが苦労だったといえば苦労だし、苦労ではないといえば苦労ではなかった。常に渦中にいて、泳ぐのに必死だったので判らなかった。」とのことである。
井内社長は四国の徳島県小松島市で生まれ、実家が沿岸漁業を手広く営んでいた漁師の家であったため、長男として家業を継ぐという定めが有り、小学生の時から昼過ぎに出漁して翌朝早々に帰港するといったかなりの重労働を手伝われていた。しかし、実家の家業を継ぐことについては『船酔いをする』、『体力が無い』、『目測判断が苦手である』ということで不向きと感じていたことから断念し進学を選択した。大学は小さい頃に読んだ『三国志』に影響を受けたことから京都大学・中国文学科に進み、当初は研究を志したが、研究自体には不向きであることを感じて、とにかく自身で中国の文献を読み学んだ。小さい時から本が好きで玩具より本を買って貰い、百科事典などは「あ行」から全て読破するような一面が有ったと聞く。
突然の転機が訪れた。三回生の二十歳の時に交通事故に遭い、全治13ヶ月の大きな怪我に見舞われ、卒業するまで七年を要した。また交通事故の後遺症と思われる腰痛に悩まされ通常の就職が困難と感じたことから、児童書籍や知育玩具の製造メーカーであるブックローン社にてアルバイトを始める。ここでの業務内容は契約書と案内書を持ち歩きながらの書籍の販売であったが、比較的、自分の体調に合わせたペースで働くことができることが選択の決め手となった。 27歳でブックローン草津支店の支店長に就き、1992年2月末で退職。同年3月には自ら法人登記等の手配を行い、4月に現在の『株式会社 タオ』を設立した。当初は湖南市菩提寺の自宅の二階を本社にして、奥様と二人でスタートした。
ブックローン社で学習教材(絵本・学習ドリル・百科事典等)の販売を担当していた時、多くの顧客に教材の使い勝手や要望を訊いたところ、殆どの顧客が教材を十分に活用出来ていなかったことに気付いた。また、当時はファミコンが大流行していたことが、大きなヒントとなった。家庭や職場でファミコンやパソコンが身近に使われてきたことに着眼し、これを教材に取り入れたら子供たちが楽しん で積極的に勉強に取り組むのではないかと思い、教材ソフトの開発に着手したのである。 そして、試行錯誤を繰り返した結果、開発されたのが学習システム『天神』である。販売以来、全国の多くの小学校に採用され、『子育て』や『実効ある教育』の一助を担いながら発展して来た過程で株式会社タオの企業としての存在価値が認められ、平成18年に経済産業省『IT経営百選』最優秀企業に認定され、さらに平成24年には『滋賀でいちばん大切にしたい会社』を受賞した。これらの受賞について、顧客と一体となった経営姿勢そのものが評価されたものであると、教育について熱く語られる井内社長の人となりから容易に推察される。
最後にこれからのことを伺った。
1)世界一実効ある学習システムを開発する。
2)2024年3月末までに学習教材ソフト『天神』を日本一のブランドにする。
この二つの戦略を推進する中で海外と提携してその国の学習システムを創ることも視野に入れている。『天神』は児童・学生向けの学習システムだが、今後は生涯学習・自己啓発・自己実現を支援する大人向けの学習システムの開発で実効のある教育のお役に立ちたいとのことであった。また、社長御自身の在り方について伺ったところ
「先述の大人向けの学習システムの開発完成を見て後継者にバトンタッチしたい。そしてお会いする方々から「あの人に会うと気持ちが和らぎ清々しさを感じる。」と云われるような人になりたい」とのことであった。
取材を通して社長の人となりに直接触れる中で、『株式会社タオ』が単なる営利を目的として教材ソフトの販売をしているだけではなく、教育の原点を考えて日々邁進されていることに非常に感銘を受けた次第である。
(文責:KIC久保田)